ブログ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 業界情報
  4. インバウンドから感じる恐怖

インバウンドから感じる恐怖

過去、インバウンド観光客というテーマで何度かこのブログに書きましたが
最近の大阪の街を眺める度に、ある種の恐怖すら感じてしまう様になり、
再度、書かざるを得ないようになりました。
恐怖の対象は、道頓堀や心斎橋などの観光スポットを中心としたあまりに多い外国人観光客です。
今更ながらですが、その様な地域にはほとんど日本人は行きません。
行かないというよりは、避けているのが現状です。
「恐怖」と言ったのは、その様な日本人が行けない地域や避けてしまう地域が
どんどん増えてゆき、気が付けば日本人が日本の様々な場所に遠慮していけなくなるような未来を
想像してしまったからです。
あながち絵空事ではないような気がします。

「観光立国」という言葉を耳にするようになって久しくなりました。
コロナ禍を経て再びインバウンドが活況を呈し、
大阪や京都といった観光都市では、日々その勢いを肌で感じます。
しかし同時に、日本人の私たちがどこかで違和感を抱いているのも事実ではないでしょうか。
果たして、日本はこのまま観光で生きていけるのか?本当にそれが私たちの進むべき道なのか?
そう問いかける声は、静かに、しかし確実に広がっているように思います。

インバウンドの波は今後も衰えることはないでしょう。
円安の後押しもあり、日本は「訪れる価値のある国」として世界から注目されています。
ただし、「観光に選ばれること」と「観光で生きていくこと」は全く別の問題です。
世界には観光を主軸に国家運営をしてきた国もありますが、それらは日本とは地理的にも歴史的にも文化的にも違う背景を持っていると思います。

たとえばイタリア。観光大国としての地位を長く維持してきた国ですが、
彼らの観光業は単なる訪問先の提供ではなく、「生活文化を見せること」が核にあります。
都市の構造そのものが美術館であり、食文化、音楽、地域ごとの歴史が観光資源として緻密に機能しています。
観光とは経済活動である以上に、アイデンティティの発信なのです。
つまり、観光を成立させるには「見せたい自分」が必要なのです。

では、日本にはそれがあるでしょうか。
今の日本は、ただ「訪れてほしい」「買ってほしい」という受け身の姿勢でインバウンドを受け入れているだけで、
自分たちがどのような国として世界と接していくのかという、いわば“国家のコンセプト”が見えにくい状態にあります。
グランドデザインが不明確なまま、世界に対してドアだけを開け放っている──それが、現状の「観光立国・日本」の姿に見えてしまうのです。

私たちは、リラクゼーションマッサージ業の運営をしておりますが、
このような“国家としての方向性”が定まっていなければ、大衆レベルの商売人としての判断軸がブレるのです。
今後、日本人向けのサービスを続けていくのか、
外国人観光客向けに転換すべきなのか、
迷いを持つ商売人は決して少なくないと思います。
特にBtoC業のように、日々のお客様との接点が“誰か”によって成り立っている業種ほど、この“国のあり方”に敏感なのです。

日本がどのような国として存在していくのか。
それは大上段な国家論ではなく、私たちの仕事や暮らしに直結する問いです。
そしてそれは、政府や大企業にだけ委ねる問題でもありません。
むしろ、日々の現場でお客様と向き合っている私たち商売人こそ、その問いにリアルに向き合う立場にあるのかもしれません。

これからの10年、日本は「どう見られたい国」なのか。
そのアウトラインが描けて初めて、私たちの立ち位置やビジネスの方向も明確になるのです。
それを他人任せにせず、一人ひとりが問い、考え、動き出す時期に来ているのではないでしょうか。

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事